2021年9月30日、日本で発売が決定したソニーの新型スマートフォン「Xperia 5 III」(えくすぺりあふぁいぶ まーくすりー/型番SOG05,SO-53B,ソフトバンクモデル)の評価、旧モデルとの比較・スペック評価を詳しく解説します。

ソニーのXperia 5 IIIは、すでに日本で発売中の2021年夏モデル Xperia 1 III(ドコモモデルSO-51B/auモデル SOG03/ソフトバンク)と同時に海外向けには発表済みのスマホです。

日本では夏にメインの「1」シリーズ、秋冬モデルとして一回り小さな「5」シリーズが毎年発売されており、今回のXperia 5 IIIも規則通りのモデルチェンジとなります。

性能としてはメインのXperia 1 IIIとほぼ同等か一部低いスペックとなる「5」シリーズの最新作Xperia 5IIIを買う価値があるのかどうか、詳しくレビューしていきます。

ソフトバンク・ドコモ・auがXperia 5 IIIの発売日を2021年11月中旬以降としてアナウンスしています→Xperia 5 IIIの発売日は2021年11月12日に決定しました。

→2021年10月19日、ドコモモデル価格が決定しました。

Xperia 5 IIIと2年前のXperia 5を比較

Xperiaの「5」シリーズは、2019年に最初の「Xperia 5」(SO-01M/SOV41)が発売されました。当時からこのシリーズは「細くて持ちやすいハイスペックスマホ」というコンセプトを維持しており、今回のXperia 5 IIIに至るまで3世代のデザインはほぼ継承しつづけています。

しかし、その中身は2年間でいろいろと変わりました。

項目 Xperia 5 III
(2021)
Xperia 5
(2019)
ディスプレイ 6.1インチ
有機EL
フルHD+
6.1インチ
有機EL
フルHD+
本体サイズ 縦:157 mm
横:68 mm
厚さ:8.2 mm
縦:158 mm
横:68 mm
厚さ:8.2 mm
重さ 168グラム 164グラム
バッテリー容量 4,500mAh 3,000mAh
実利用可能時間 非公開 130時間(4G)
CPU SDM888 SDM855
RAM/ROM 8GB/128GB
6GB/64GB
5G接続 対応 非対応
カメラ 【メインカメラ】
1220万画素
+1220万画素
+1220万画素
【サブカメラ】
800万画素
【メインカメラ】
1220万画素
+1220万画素
+1220万画素
【サブカメラ】
800万画素
防水・防塵
対応
対応
おサイフケータイ
対応
対応
セキュリティ 指紋認証(本体横) 指紋認証(本体横)
本体価格 ドコモ 一括113,256円
au 一括121,405円
ドコモ一括87,912円
au一括90,720円
SB一括116,160円
発売日
2021年11月12日(3キャリア同時) 2019年11月1日(SO-01M)

*価格は発売当時のもの。

Xperia 5とXperia 5 IIIはどちらも6.1インチのディスプレイであり、サイズ感も殆ど変わっていません。

しかし、スペックデータを見ても分かるとおり、電池容量が2年前から大幅にアップしています。旧モデルではスリム・コンパクトさを優先するために電池持ちに関しては平均的なものでしたが、Xperia 5 IIIでは電池容量を増やすことで5G通信・超高速処理CPUによる電池消耗に対して長く使えるよう対策をしました(5G通信/SDM888の電池消耗は大きく、一般的に4Gスマホより電池持ちが悪化する)。

一方で、2021年夏モデルのXperia 1 IIIとXperia 5 IIIを比べると重量が20グラムも軽く、縦横幅も小さくなっており、6インチを大きく超える大型のスマホは使いづらい・持ちづらいと感じるユーザーにはXperia 5 IIIが向いています

処理性能面ではXperia 5 IIIはXperia 1 IIIと同じQualcomm Snapdragon 888を採用しており、Antutuベンチマークスコア(ver8系統)では70万点ほどの高評価な数字が期待できます。


(同チップを搭載したXperia 1 IIIの測定結果)

2年前のXperia 5のスコアは46万点ほどであっため、Xperia 5 IIIは1.5倍くらいの処理性能アップと考えて良いでしょう(Xperia 1IIIはRAM12GB/ROM256GB,4Kディスプレイであるため、Xperia 1 IIIよりXperia 5 IIIのほうがベンチマーク性能は若干劣る見込み)。

最新のXperiaには「ゲームエンハンサー」というスマホでゲームアプリを快適に遊べるモードを用意しており、ゲームスタイルに合わせて設定や通知調整を行うことが出来ます。

【ゲームエンハンサーの機能】
ゲームモード:ゲームプレイのパフォーマンスに関する設定ができます。
フォーカス設定:プレイ中の通知や操作を細かく設定することで誤操作を防止し、ゲームに集中できます。
画質&サウンド:ゲームの画質とサウンドに関する設定ができます。
スクリーンショット:ゲーム画面を静止画で保存できます。
レコード:ゲームプレイを音声やゲーム音とともに録画できます。
クイックアクセス:スクリーンショット(1枚・バースト)、レコード、コンペティションセットがワンタップで設定できます。
便利な設定:メニュータイプの設定ができます。

Xperia 1 III/Xperia 5 IIIの処理性能があれば、あらゆるゲームを快適に遊べる水準です。一方で、Xperia 5 IIIのRAMは8GBとなっており、Xperia 1 IIIや他の最新ゲーミングスマートフォンに比べるとメモリ容量が少ないとも言えるため、アプリを多重起動している場合はパフォーマンスがやや落ちる可能性もあります(一般にはメモリ8GBで不足する場面は滅多に無いと思われます)。

大きく進化したXperia 5 III/1IIIのIZEISSレンズカメラ

Xperia 5 IIIに機種変更したいというユーザーが最も重視するであろうポイントは、やはり2021年モデルから大きく変わったカメラでしょう。

2年前のXperia 5と本作 Xperia 5 IIIは、カメラの画素数とレンズ数は「1220万画素のトリプルレンズ」という点では変わっていないものの、その画質・ズーム機能が大きく変わっています。

まず、Xperia 5 IIIのレンズはデジカメ用レンズと同じ「ZEISS」のブランド名を冠したもので、すべてのカメラに素早くピントがあうセンサーが積まれています。

Xperia 5 IIIの広角レンズ(標準カメラ)は大きなセンサーを利用することで、より明るく、鮮明な写真が撮れます。

さらに、Xperia 5 IIIとXperia 1 IIIの新機能として、カメラのレンズが内部で物理的に移動することで、ズーム性能がアップする「可変式望遠レンズ」機構を搭載しました。これにより最大望遠(ズーム)性能が向上します。

具体的には、過去のXperiaでは撮影がほぼ不可能だった月の模様が見えるようになります。

*Xperia 1 III/Xperia 5 IIIで月の模様を写すにはコツ(手動での設定)が要ります。詳しくは実際に管理人が撮影した「Xperia 1 IIIで月面模様を撮る方法」を参照ください。

Xperia 5 IIIにはプロ用カメラのような細かい設定が出来る「Photography Pro」アプリが入っています(上記の設定画面がプロモード)。明るさや露出、シャッタースピードを素早く、デジタルカメラのような操作で変更できるプロ志向なUIです。

もちろん誰でも簡単にキレイな写真が撮れる「ベーシック」モードのカメラもあります。

Xperia 5→Xperia 5 IIIのカメラ変化を数字で見ると、以下のような仕様の違いになります。

Xperia 5 III
(2021)
Xperia 5
(2019)
メインカメラ
1220万画素
1/1.7″インチセンサー
F値 1.7
焦点距離24mm相当
メインカメラ
1220万画素
1/2.6″インチセンサー
F値 1.6
焦点距離26mm相当
超広角カメラ
1220万画素
1/2.5″インチセンサー
F値 2.2
焦点距離16mm相当
超広角カメラ
1220万画素
1/2.5″インチセンサー
F値 2.2
焦点距離16mm相当
ズームカメラ
1220万画素
1/2.9″インチセンサー
F値 2.3/2.8
焦点距離70/105mm相当
ズームカメラ
1220万画素
1/3.4″インチセンサー
F値 2.4
焦点距離52mm相当

*焦点距離は35mm換算時。

なお、2021年夏モデル Xperia 1 IIIとXperia 5 IIIのカメラの違いは、Xperia 1 IIIにのみ3D iToFレンズ(距離を測定するためのセンサー)があることです。

上記写真で言えば、「ZEISS T*」のロゴの右下にある、四角のレンズが3D iToF用のパーツです。これがXperia 5 IIIにはありません。

3D iToFセンサーは暗い場所でのリアルタイムピント調整に有効なシステムです。Xperia 5 IIIも瞳オートフォーカス・オブジェクトトラッキングによって人や動物にもピントが合いやすくなっているものの、オートフォーカス性能については利用シーンによってXperia 1 IIIのほうが優れた性能を発揮することが期待できます。

関連記事:[実機レビュー]Xperia1III SO-51B買うときに注意すべきポイント/良い評価・悪い評価 料金-カメラ画質・ベンチマーク

3D iToFセンサーがない、ディスプレイが4K解像度ではない、メモリが少し少ないといったXperia 1 IIIとXperia 5 IIIの違いは、価格差に恩恵を与えます。

Xperia 5 IIIの価格・値引き

2021年9月時点において、Xperia 5 IIIの販売価格は国内でソフトバンクau各社が未定としています(価格情報が判明し次第追記します)。

2021年10月19日、ドコモがXperia 5 III SO-53Bの価格を公式発表しました(auモデルSOG05も価格が発売日前に判明しています)。

ドコモモデルの一括価格は113,256円です。

いつでもカエドキプログラムを利用時、月々2,972円、2年総額68376円の負担で利用できます。

すでにXperia 5 IIIの価格が決定している海外の場合を参考にしてみると、Xperia 1 IIIより数万円安く設定されています。

イギリスでのXperia 5 III販売価格は約135,000円です。Xperia 1 IIIは更に高い18万円です(2021年10月1日時点の為替相場にて)。Xperia 1 IIIより一部性能が抑えられているため、Xperia 5 IIIの値段は4万円も安いのです。

ここで、日本のXperia 1 IIIの価格を見てみると、

キャリア/型番 Xperia 1 III販売価格
ソフトバンク 188,640円
au SOG03 178,000円
docomo SO-51B 154,440円

(2021年10月1日時点)

このように、ドコモだけはXperia 1 IIIをイギリスより安く設定しているものの、au・ソフトバンクはイギリス価格と大差ありません。

Xperia 5 IIIがXperia 1 IIIより約25%安いとすれば、日本でのXperia 5 III販売価格は11.5万円~14万円程度の定価に設定されると予想されます。

各社すでにXperia 5 IIIの予約受付を開始しています。キャンセルに手数料はかかりませんので、価格が気になるユーザーも、とりあえず予約して価格発表を待ちましょう。

2021年冬モデルXperia5III評価 旧モデルとの違い(SOG05・SO-53B)スペックとサービスレビュー/価格情報