新しいスマートフォン機種が発売するたびに「より綺麗に撮れるように!」・「一眼レフ並の画質!」といった、カメラ機能に特化したモデルが増えています。

最近のスマートフォンはハイエンドモデルであればどれも十分に高性能であり、機能やスマホのデザインもよく似たモデルが多くなってきたため、スマートフォンをカメラで選ぶ、という人も少なくないかもしれません。

スマホのカメラと言ってもそれぞれのメーカー・端末によって特徴的な機能を持たせたものもあります。例えば、AppleのiPhoneシリーズでは2016年発売のiPhone 7 Plus、2017年モデルのiPhone 8 Plus, iPhone Xではメインカメラのデュアルレンズを搭載し、1つは通常のカメラ+もう一つは望遠(ズーム)カメラとなっており、光学2倍ズーム相当の切替が出来ます(iPhone Xのカメラ作例はこちらのページを参照)。

一方、上記の写真でiPhone Xと並べて撮影した2018年夏モデルスマートフォン AQUOS R2 SH-03Kも2つのカメラを搭載していますが、このレンズは「標準カメラ」+「動画専用」の役割をそれぞれ持っており、ズーム用ではありません。AQUOS R2の「動画を撮りながらもう一つのカメラで静止画を撮る」という機能自体が世界初の新機能になっています(SH-03Kの詳しい実機レビュー・使ってみた感想はこちら)。

さらに同じく2つのカメラレンズを搭載した LG V30+では、今度はズームではなく「標準カメラ」+「広角カメラ」になっており、より広い風景を1枚の写真に収められるようなカメラになっていました。

このように、「2つのレンズがあるスマホ」というだけでは機能が同じとは言えず、ズーム・広角・動画/静止画、あるいはモノクロセンサーカメラを搭載したモデルもあり、スマホをカメラ機能重視で選ぶ場合にも良くその機能を知ってから比較検討するべきです。

スマートフォンのカメラの中でもどの機能を優先したいのか、どのような写真を綺麗に撮りたいのかによってまた選ぶべき機種が変わってきます。そのすべての機能を評価・チェックして選ぶのは難しいのですが、今回は「ボケ」に関するカメラ性能についてチェックしてみたいと思います。

ボケのある写真

最新スマートフォンのいくつかのモデルでは「ボケみ」を表現することが出来るカメラ・画像処理機能を持った機種があります。ここでいうボケとは、撮りたい被写体はくっきりと写し、その背景・手前にある物体にはピントがあっていない状態、という感じで撮影される効果のこと指し、対象物を強調して表現したい時に使われます。

上記のサンプルは一眼レフカメラで撮影したものですが、手間にピントをあわせることで、等間隔で並べた奥にあるガラスのおもちゃほど、霞が掛かったようにボケていきます。

デジタルカメラの場合はF値・絞りを変更することによってこのボケ具合を調整することも出来ます。一般的なスマートフォンでは絞りは固定(2018年夏モデルのGalaxy S9/S9+はF1.5とF2.4の絞り可変という斬新なカメラ機能を持っています)になっていますので、ボケを表現するときにはレンズの絞り効果ではなく、連続で撮影した2枚の写真を合成したり、画像処理によってボケを表現しているはずです。

そのため、それぞれのスマホメーカー・端末の機能によってボケ処理に得手不得手があり、若干不自然な処理になってしまうケースがあるようですので、最新のスマートフォンとしてApple iPhone X, Sony Xperia XZ2(SO-03K), Sharp AQUOS R2(SO-03K), Samsugn Galaxy Note8 (SC-01K)、そして一眼レフカメラ&ミラーレスカメラを使い、それぞれのボケ具合と機能性を比較してみましょう。

ご注意以下の画像サンプルはクリックすると拡大できます。ホームページ用に画質を落としていますが、実際にはそれぞれの端末でもっと高画質な写真を撮ることが出来ますので、「ボケみ」がどのように現れるのかの比較用にのみ、参考にしてください

Galaxy Note8のカメラボケ具合

まずは2017年冬モデルとして発売されて人気となった、Galaxy Note8 (SC-01K)から行きます。Galaxy Note8は標準カメラ+ズームカメラの2つのレンズを持っており、どちらかというと夜景撮影・暗い環境での撮影に強いカメラを持っています。

Galaxy Note8でボケみを表現をする場合には、「ライブフォーカス機能」を使います。

ライブフォーカス機能を使うと、撮影中の画面にボケ味を調整するスライダーが表示され、背景をボケさせるかくっきりと写すか、程度を調整することが出来ます。

以下のサンプル写真がライブフォーカス機能を最大まで適用したボケ写真です(以下、同じ構図で他機種と比較していきますので、よく違いをチェックしてみてください)。

ネコの奥に小さなひまわりのおもちゃを配置してあります。ネコの体全体はくっきりと写っていますが、その奥にある背景はボケているのが分かるでしょうか。これを通常のカメラモードで撮ると、背景のひまわりはもっとくっきりと写ります。

Galaxy Note8のライブフォーカス機能はかなり自然なボケを表現出来ます。一方で、このライブフォーカスは手前にある被写体と奥行きが十分にある場合にしか機能せず、小さな被写体を接写する場合や奥行きが小さいシーンでは機能自体が動かないことがあります。

Galaxy Note8はDxOmarkで94点という高スコアを獲得したモデルであり、デュアルカメラを使ったライブフォーカス機能についてもまずまずの仕上がりを期待しても良いと思います。

iPhone Xのカメラボケ具合

続いて2017年11月に発売された最新iPhone Xです。iPhone XもGalaxy Note8と同じく、標準カメラ+ズームカメラの2つを利用した「ポートレートモード」によるボケ表現が可能です。

iPhoneのポートレートモードでは、「ピントを合わせたい被写体を抜き出す」ような効果が強く、ネコと手前のクッション部分の境界線がやや不自然な仕上がり(クッション部分が均一に処理され、ノッペリとしている)になりました。一方でネコのからだ全体はくっきりと写っており、印象的な写真になっています。ネコと背景の境界部分も自然であり、さすがのクオリティです。

ポートレートモードを使う場合には2倍ズーム状態になり、Galaxy Note8と同様にカメラと被写体・被写体と背景に十分な距離が無い場合には、ポートレート機能が動作しないことがあります。

iPhoneのポートレート機能が有効な状態で撮影された画像は、後から「自然光」「スタジオ照明」「ステージ照明」などの効果を変更することも可能です。ただし、ボケ具合の強弱を変更することは出来ません。

AQUOS R2のカメラボケ具合

続いて、2018年6月8日に発売されたシャープの新モデル AQUOS R2 SH-03Kです。本機種は2眼カメラによるボケ表現ではなく、2枚の写真を撮影して合成する「背景ぼかし」モードを使って処理しています。

上記がぼかしを最大に調整した状態のサンプルです。ネコのからだ部分は綺麗に撮影することが出来ていますが、背景のひまりりの土台部分が少し不自然に歪んでボケてしまいまいた。

AQUOS R2の背景ぼかしは強度は10段階で後から調整することも出来ます(アルバム機能から利用可能)。

下の写真がオリジナル(背景ぼかし「0」)です。

ネコの部分はほぼそのままに、背景のひまわりの花がボケていることが分かると思います。個人的な印象としては、最大にボケ効果を効かせた場合にもう少し強くボケて欲しいかな?という感じです。

Xperia XZ2のカメラボケ具合

今回テストしたスマートフォンの中で唯一1つのカメラレンズしか搭載していない、2018年夏モデル Xperia XZ2では、最近のXperiaシリーズのスマホに標準搭載されている「ぼけエフェクト」により、ボケを表現できます。

今回テストした機種の中で、Xperia XZ2のボケが最も強くボケました。ネコの背中部分と背景の境界線はやや不自然になってしまっていますが、フォーカスのあったネコのからだ部分はくっきりと写っています。

ぼけエフェクトを利用すると、標準のボケ効果のほかに縦・横方向にブレたような効果を追加することも可能です(撮影後に強弱も調整することが出来ます)。

一眼レフカメラのボケ具合

最後に比較用として、単焦点レンズを使った一眼レフカメラでも撮影してみました。普通のカメラとスマホカメラにどのくらいの差があるのか、確認してみてください(レンズの仕様より全く同じ距離・構図で撮ることは出来ませんので、似たような写り具合になる距離・ズームで撮影しています)。

上記は 50mm F1.8のレンズを装着した初心者向けカメラ EOS Kiss X7で撮影したものです。スマホカメラではどの機種を使ってもネコのからだ全体はくっきりと映り、背景だけがボケていましたが、単焦点レンズの最大の絞り開放で撮影すると、ネコのからだ自体の奥行き間でもピントが合う位置と合わない位置が出てきます。背景のボケもスマートフォンに比べると強く感じられます。

ミラーレスカメラのボケ具合

一眼レフとミラーレスという種類の違いは「ボケ具合」には関係ないのですが、続いて F4.0のレンズを装着したソニーのミラーレスカメラでも撮影してみました。

F1.8のレンズよりもネコの顔全体がくっきりと写ります。一眼レフ・ミラーレスカメラでよりくっきりと写したい場合はF値を変更することによって自由に調整することも出来ますが、スマホの合成処理のよって生じることがある不自然さは、普通のカメラで撮影した写真には当然ありません。

まとめ

最新のスマートフォン4台と普通のカメラのボケ具合を比較してみたところ、細かい処理部分を気にしないのなら、スマートフォンでもそれっぽいボケ写真を作ることが出来るカメラを持っている機種があると言えそうです。

今回のような小さな対象を撮影してボケさせる場合には、Xperia XZ2のボケエフェクトが最も強くボケみが出ていると感じました。一方、ボケ処理の自然さではGalaxy Note8, iPhone Xが有利なようです。

AQUOS R2のボケもシーンによっては自然に処理できる写真もありますが、奥行きが小さい・ピントが合いづらい小さな被写体でボケを作ると不自然にボケが出てしまうことがあります。

それぞれのスマートフォンのカメラで利用できる機能・得意なシーンが異なりますので、上記のボケ具合テスト結果と合わせてスマホ比較をしてみると良さそうです。

スマホカメラで綺麗に「ボケ」を表現出来る機種はどれ?iPhone X, AQUOS R2など各機種撮り比べ

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