2020年7月21日、総務省で行われた有識者会議において、携帯販売に関する「頭金」と呼ばれる業界の特殊なルールが見直されることが報道されています。
一般的なイメージで「頭金」と言えば、製品の本体価格の一部を先払いし、残りの残債を分割や後払いにするという支払い方法という認識のはずです。
一方で、携帯販売業界では従来より「携帯電話やスマホ本体価格」とは別途、携帯販売店が独自で金額を決めることが出来る”頭金”というシステムが2020年時点でも横行しています。
携帯ショップの”頭金”は、ドコモ・au・ソフトバンクなどの携帯会社ごとに決まっているものではなく、各代理店・各店舗、それぞれが自由に決めることが出来るとしています。一般的な頭金の金額は3,000円~1万円程度のことが多く、頭金が設定されたショップでスマホを購入しようとすると、公式発表された機種代金よりも請求が高かったということがあり得ました。
また、過去にはこの「頭金を無料にする」というセールストークでスマホ・携帯用のアクセサリーや付属品、有料コンテンツサービスの加入強制を行うようなケースも相次ぎ、問題となったこともあります。
「頭金」という誤解を与える名称が問題視
総務省が公表している資料によると、携帯事業者の言い分としては「頭金」とは本来端末代金の一部であり、その「頭金」を設定するかどうか自体を販売店が独自に決めているとしてます。
つまり、「頭金が0円」という状態自体が”端末代金が値引きされている”ようなものであり、頭金を公式の端末代金相当する部分以外で請求することは正当としています(説明無く携帯業界独自の「頭金」に、さらに一般的な意味での頭金を2重で請求するようなことは通常ありません。もしあれば消費生活センターに相談すべき事案です)。
したがって、現時点~過去において携帯ショップでiPhoneやスマホを購入したときに本体代金部分以外の「頭金」を支払ってしまった場合であっても、その支払い自体を返金要求や無かったことにする事はできません(頭金を含んだ金額に納得した上で契約したことになっているはずです)。
しかし、このような表現自体は携帯販売業界以外では通常使われることはなく、誤解を与えていることが今更ながら問題視され、近いうちに見直されるようです。
オンライン手続きならドコモ・au・ソフトバンクすべて頭金はゼロ
2020年7月時点で総務省が行うのは「頭金の名称変更」です。
したがって、今後も店舗で携帯やスマホ・iPhoneを購入しようとすると頭金相当の金額が別の名前になって請求されるだけの可能性があります。
店舗での購入時には店舗の維持費・人件費・サポートなどが含まれていると考えると、「ショップサポート利用費」のような名称で、事務手数料・スマホの本体代金以外の請求が発生するのでしょう。
実際、今までは携帯ショップで無料で受けられていた初期設定やサポートが近年一部有料化される事例もあり、店舗で契約する・機種購入をすること自体は相応のコストが掛かりますので、携帯業界独自の「頭金」自体をいきなりゼロにすることはビジネス的な意味で難しいのかもしれません。
しかし、2020年時点において、携帯各社では新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、店舗ではなくオンラインでの手続きを推奨・優遇する流れがあります。
その一環として、公式携帯各社のオンライン手続きでは、ドコモ・au・ソフトバンク(ワイモバイルを含む)ですでに頭金システムが廃止されています。
(ドコモオンラインショップの場合)
(auオンラインショップの場合)
(ソフトバンクオンラインショップの場合)
(ワイモバイルオンラインストアの場合)
ドコモ・ソフトバンクの場合は契約手続きの事務手数料すら無料化されています(2020年7月22日時点)。
今後携帯店舗での契約時に「頭金」という言葉は使われなくなるかもしれませんが、店舗の売上を維持するために別の名称に変わるだけですので、頭金を支払いたくない場合はシンプルに頭金設定のない公式ウェブ手続きの活用をおすすめします。
参照:携帯電話の契約時のトラブルと消費者へのアドバイス 総務省 https://www.soumu.go.jp/main_content/000058846.pdf